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トムラリサイクリングとイケア、ウェビナーで木材リサイクルの将来を強調

トムラリサイクリング(以下、トムラ)は、10月27日、「木材リサイクルの将来」と題したウェビナーを開催しました。トムラの木材リサイクルチームおよびイケアの素材エキスパートは45分間のライブ配信の中で、木材の循環型経済(サーキュラーエコノミー)を実現させる方法と、パネル業界にとって収益性の高いビジネス事例について、概要を説明しました。

24 11月 2022

木材リサイクルのグローバル市場はダイナミックに変化しています。廃木材には貴重なリサイクル可能な材料が含まれており、適切に分別すれば、高品質のリサイクル材となって木材ベースのボードを新しく製造することができるため、廃木材の有効利用の必要性に対する業界の認識が高まっています。多くの木材パネルや木製家具の製造業者は、現在すでに廃木材に依存しており、価格変動の緩和や十分な原材料へのアクセスを確保しています。廃木材のリサイクルは、循環型経済への移行に大きな影響を与え、現状課題の打破に役立っています。

TOMRA_Webcast team

 

世界中からの参加者が視聴したトムラのウェビナーには、木材セグメントマネジャーであるホセ・マタス(Jose Matas)、 木材セールスエンジニアのムラット・サンリ(Murat Sanli)に加え、IKEAスウェーデンABから、材料エキスパートおよび技術エンジニアであるヤンオロフ・フェヒター氏(Jan-Olof Fechter)が登壇しました。こ門家によるこのパネルディスカッションでは、市場の現状から課題、木材のサイクルを循環させるソリューションについて概要の説明がありました。

セッションの冒頭でマタスは、マーケットトレンドの現状について述べました。現在市場は、ヨーロッパのエネルギー危機や気候変動、そして持続可能性目標を達成するために業界がリサイクル素材への依存度を高めたことに大きな影響を受けています。「ヨーロッパは、エネルギー危機で大きな打撃を受けました。そして、多くの世帯が代替熱源として木材に移行したことで、かつてないほど高まっていた木材に対する需要が、さらに増大しました」とマタスは強調し、さらに「市場では全体的に材料が不足しており、高品質な木材の調達がますます困難になったため、価格が高止まりしています」と述べました。その上でマタスは、ボード業界が材料へのアクセスと収益性を維持するために、木材供給において循環処理の可能性に目を向けたことを説明しました。年間に大量に排出される廃木材を有効活用し、収集や選別を適切に行って個々の材料片にリサイクルすることで、リサイクルメーカーと木材ベースのボードメーカーに競争上のメリットをもたらします。リサイクルメーカーは、未処理の木材からMDF(中密度木製繊維板)に至るまで、個々の廃木材の材料片を作成し、それを高品質の二次材料として販売する手段を得ることができます。またボードメーカーには原材料の安定的な供給による利益をもたらし、新鮮な木材と比較するとリサイクル木材は低価格であるため、事業の収益性を維持しながら市場が要求する量と数量を確保できます。

Graphic_Waste_wood_processing

 

 

循環型経済における木材のリサイクルプロセス

 

マタスの講演の後も、参加者はメーカーの展望について有意義な知見を得ることができました。続いて登壇したヤンオロフ・フェヒター氏 は、IKEAが持続可能性とリサイクルを事業に取り入れる方法と、リサイクル事業の長期的目標について述べました。「現在再利用されている家具はわずか1%ですが、99%、つまり80万トンの家具がリサイクルされています。この数字は、当社のリサイクルプロセスが整っており、より環境にやさしい製品づくりを支えていることの証明です。それでも、まだ取り組むべきことの可能性が残っており、私たちは直ちに進める必要があります」とフェヒター氏は述べました。フェヒター氏はその後のプレゼンテーションで、IKEAのパネルボードおよびMDF/HDF(高密度繊維板)ボードにおける将来の目標リサイクル率について説明しました。2020年はパネルボードのリサイクル率が25%MDFHDFボードに関してはバージン材のみでしたが、IKEA2025年の目標として、パネルボードのリサイクル率を56%MDF/HDFボードを9%に引き上げることを掲げています。講演の最後にフェヒター氏は、一般的な家具の使用済みプロセスとIKEA製品の廃材プロセスを比較し、二次原材料を含むパネルボードと繊維板の回収と生産において、センサーベースの選別が果たす役割をスライドで示しました。

2名から木材の循環型経済の有益性について説明があった後、ムラット・サンリが、全体的アプローチを利用した木材のリサイクル率の最大化について述べました。サンリは、「リサイクル木材の可能性を最大限に引き出すためには、3つの基本要素に集中しなければなりません。廃木材の収集、選別、そしてリサイクルです」と述べました。最終製品の品質を左右するのは、技術主導の選別ソリューションです。フェヒター氏の概説にもあったように、メーカーは持続可能性を高める努力を続けており、パネルボードのリサイクル率を高めています。そのために必要なのが、未処理の木材やMDFなど純度の高い素材片です。廃木材には、汚染物質を始め、OSB(配向性削片板)、MDF、合板からコーティングされた材料、またリサイクル可能な未処理の破片など、多くの異なる物質が含まれているため、個々の木材片を回収するには、大規模な洗浄や選別プロセスが必要です。選別プロセスにおいてスマート技術を使用することで、競争力が3倍増加します。つまり、要件に応じて種類別に木材を回収し、高い生産性を実現して、従来の技術では実現不可能だったレベルの純度を達成できるのです。

しめくくりの質疑応答セッションでは、参加者の皆さんに対して更なる質問の機会が設けられ、同時に今回のトピックへの大きな関心も寄せられました。今回ライブセッションにご参加頂けなかった方もhttps://www.tomra.com/en/discover/waste-metal-recycling/webinars/2022/the-future-of-wood-recyclingから、見逃し配信をご覧いただけます。